麻酔科学とは?麻酔科医とは?

麻酔科学・周術期医学

麻酔の三要素とは「鎮痛」,「鎮静」,「筋弛緩」であり,患者さんの不快感をなくして手術を行いやすくすることを目的としています。しかし,麻酔の目的はそれだけではなく,手術前後の全身状態を安定させることを通して,手術侵襲から体を守る役割を果たしています。

これは術前から術後まで周術期全体の統一された全身管理があってこそで,麻酔科学とは神経・呼吸・循環・免疫・代謝・内分泌など臓器・組織の機能を安定させる学問です。さらに,麻酔科医には患者さんの術前の不安をなくし,術後の鎮痛と早期回復にも主要な役割を果たすことが求められています。そのためリハビリテーション,心理学,人工臓器・臓器移植,遺伝学などの先端医療とも深く関わっています。臨床はもちろん,基礎医学,看護・保健学,医療工学を含めたあらゆる分野と横断的に臨床や研究が行われています。私たちは「麻酔科」という組織で周術期の全身管理を行うことで,質の高い周術期管理を実践しています。

このことにより麻酔科医は,集中・救急医療,疼痛治療(ペインクリニック,緩和医療,無痛分娩,リハビリテーション),基礎研究など様々な場面で活躍しています。

麻酔科医を志すみなさんへ

東北大学医学部麻酔科学教室は全国で2番目に開設され,集中治療部は国立大学では全国で初めて運営された伝統のある教室です。脳死肺移植,生体部分肺移植,生体部分肝移植,脳死心移植,脳死膵腎同時移植,脳死小腸移植,生体部分小腸移植,年間300件弱の心臓血管外科麻酔,食道癌手術,意識下開頭術などの大手術の麻酔をコンスタントに管理できる,極めてレベルの高い麻酔科チームです。30床の集中治療部の管理も主に麻酔科で行っていることが手術室の麻酔を支えており,日々臨床症例が多彩で豊富です。

外科学のみならず近年は緩和医療などで内科学とも関係性が深くなり,現代医学になくてはならない存在です。麻酔科は急性期病院の心臓部分とも言われています。当講座は「麻酔科学・周術期医学」という視点で臨床・教育・研究を行っています。学生や若い医師にとっては選択肢の広い職場で,新生児から高齢者まで,また,あらゆる臓器システムについて興味を掘り下げていける魅力があります。将来的にも集中治療,緩和医療,スポーツ医学や障害者へのペインクリニック,臨床医の視点を活かした基礎研究など,様々な道が開けています。複数の科と一緒に仕事をする特性から,医学的コミュニケーション能力を生かした役割も求められています。

「全身管理は面白い」
「色々な科や人とコミュニケートする仕事がしたい」
「臨床の現場ですぐに活かせる基礎研究がしたい」
「女性の特性を活かしたい」
「自由な発想で何かしてみたい」

などなど,麻酔科では様々な人材を必要としています。
一方,ポジティブなやる気と同時に,みなさんには不安もたくさんあるでしょう。それも恐れることはありません。不安や困難が人を成長させ,仕事への興味と継続で麻酔科の学問は自然に身に付きます。そのための経験豊富なスタッフと身近な先輩が,適切な距離で指導や応援を丁寧にします。

みなさんと一緒に働くことが,われわれの成長にもつながります。東北大学麻酔科の仲間となり,公私ともに実りある成果をあげることを期待しています。

当科では,見学や入局に関するお問い合わせを随時メールで受付中です。
お気軽にお問い合わせください。

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